近年増加するアメリカカンザイシロアリとは?発生状況と予防方法とは

近年被害が拡大しているアメリカカンザイシロアリは、ヤマトシロアリやイエシロアリと異なる特徴を持っており、早期発見と駆除が難しいシロアリです。アメリカカンザイシロアリへの対策は、駆除ではなく予防を念頭において考える必要があります。

当記事では、アメリカカンザイシロアリの生態や特徴、予防の方法について解説します。アメリカカンザイシロアリへの対策はホウ酸処理が最適です。ホウ酸処理が効果的な理由やメリットも詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

アメリカカンザイシロアリの生態について

NHKのクローズアップ現代でアメリカカンザイシロアリの特集が放映された影響で、その認知度は高まりました。着実に被害が広がっているようで、お客様からの施工希望が年々増加しています。まずは、アメリカカンザイシロアリの生態についてご紹介します。

アメリカカンザイシロアリの特徴

アメリカカンザイシロアリは、乾いた木材中の僅かな水分で生育できるシロアリです。元々日本には居なかったシロアリですが、木材や家具の輸入によって運び込まれたと言われています。

土の中に巣をつくるヤマトシロアリやイエシロアリと違って、羽アリが木材に直接入り込んで巣(孔道)をつくり、蟻道や蟻土による家屋侵入はしません。また、温度変化や環境湿度の影響を受けにくい点も特徴です。

アメリカカンザイシロアリの被害

アメリカカンザイシロアリの被害は建物下部材から小屋組材まで、建物全体に及びます。また、木製の家具や楽器類に巣を作ってしまうこともあります。巣(コロニー)の周辺は空洞になってしまうため、被害箇所によっては、耐震強度が著しく低下する可能性があります。 米国・カリフォルニア州では中程度の地震で建物が倒壊した例も伝わっています。

ヤマトシロアリやイエシロアリと比較すると食害の進行は遅く、住宅にアメリカカンザイシロアリが侵入してから被害の兆候が現れるまでに数年かかるといわれます。ただし、早期発見が難しく、駆除法が確立されていない上に完全駆除ができないため、 被害は広がりやすいと言えます。

どんな格好をしているか

羽アリ(有翅虫)の体長は6-8mm程度で頭部は赤褐色、他は黒褐色。翅を入れると体長は10mmを超えます。動きは非常に敏速で、暖かい日に少数で飛び立ちます。 体色が似ていることから、日中に群飛するヤマトシロアリと誤認されやすいので注意が必要です。

兵蟻は8-11mm程度、頭部は濃褐色で頭部前方は黒色です。

職蟻は全体が乳白色で、ほぼ円筒状です。ヤマトシロアリやイエシロアリよりも大きく、ずんぐりしています。 容易に他の階級に分化する能力をもった疑職蟻で、数頭でコロニーを再生できます。

アメリカカンザイシロアリ
(乾材シロアリ)

アメリカカンザイシロアリの繁殖速度

羽アリがつがいとなって始まった巣(コロニー)の成長は、 数か月のちに2~5頭の職蟻が孵化し、2年目でも1頭の兵蟻と12~20頭程度の職蟻がいるに過ぎません。 しかし5年目には約800頭、10年目で1800頭、15年目で2600頭にまで繁殖すると推定されています。兵蟻の割合は、5年目から4~5%で一定となります。

また、数百~数千頭で1つの巣(コロニー)を作っていると言われています。1軒の建物に1つの巣(コロニー)というわけでなく、たくさんの巣(コロニー)が1軒の家の中でバラバラに点在していることも多く、発見と駆除を難しくしています。

アメリカカンザイシロアリの発生状況

アメリカカンザイシロアリは、1976年に東京都江戸川区で初めて被害が報告されました。その後、兵庫県や神奈川県など温暖なエリアを中心に日本各地で確認され、現在では26都府県に被害が拡大しています。輸入家具や木材を通じて持ち込まれるケースも多く、都市部や住宅密集地で食害が蔓延しやすいのが特徴です。

土に巣を作るヤマトシロアリやイエシロアリとは異なり、木の中に巣を作るアメリカカンザイシロアリは、主に木造建築や家具に被害を与えます。ただし、生息に水をあまり必要とせず木製の窓枠のように少量の木材でも繁殖が可能なため、鉄筋コンクリート造でも安心はできません。

建物内部の目に見えない場所で巣を作ることもあり、発見と駆除が困難な害虫です。

アメリカカンザイシロアリの侵入経路と発見法

巣が充実してくると、アメリカカンザイシロアリも他のシロアリと同様に 羽アリが飛び立ち、雄と雌がつがいになって新たな巣を作ります。 ここでは羽アリの巣立ちと侵入経路、被害発見の手掛かりについてご紹介します。

羽アリの巣立ち

木の表面に穴を開けて羽アリが飛び立ちます。 羽アリの飛び出す時期は、地域や条件、集団によってまちまちです。春夏秋冬どの時期でも、割合温暖な日に少数ずつ飛び出しますが、特に7~9月の昼間に目立ちます。灯火には集まりません。

同一家屋内か、近隣に順次拡大します。 飛ぶ距離は2~3メートル程度のものが多いと言います。

住宅への侵入経路

羽アリの飛来か被害材の搬入によって住居に侵入します。 他の木(軒下、木製ドアなど外部に露出した木部)へ直接飛び渡ったり、 基礎の換気口から侵入したりすることもあります。家具の木部にコロニー(固体群)を作ったまま運ばれてくることもあります。

ヤマトシロアリやイエシロアリは、地中に巣を作りエサを探して土から家に入ってきます。一方で、アメリカカンザイシロアリは羽アリが飛来した場所に木があれば木の中に直接侵入します。通常のシロアリ予防策では対応できない侵入の仕方をするため、注意が必要です。

羽アリは雌雄が対となり、翅を落として材の表面に穿孔し、1センチほどの深さに洋ナシ状の王室をつくります。 穿孔は早材部や割れ目、窪みなどから行うことが多いと言われています。穿入孔は木片と排出物で塞いでしまうため、 侵入時の食害痕は発見が困難です。

被害を発見するには

粒状の乾いた糞(拡大鏡で見ると均一な俵状)が発見の決め手です。糞は乾燥した砂粒状で、長径約1ミリ、黄色から褐色をしています。アメリカカンザイシロアリは巣の中に糞をため込む性質があり、糞をためきれなくなると「蹴り出し孔」を開けて糞を外に出します。糞が見られたら、どこかに(多くの場合その直上に)生息部位があると考えてください。 軽く叩いてみて糞が落ちるような材木が生息部です。

ごく初期には糞は発見されず、侵入部位には柔らかで軽く、しかも新鮮な木粉(木屑)の小さなまとまりが見られます。木粉や羽根が落下している場合は、近所から飛んできて巣を作られてしまった可能性があります。ただし、「蹴り出し孔」がないとアメリカカンザイシロアリの被害に気づくことは困難です。

さらに、アメリカカンザイシロアリは家屋全体に複数のコロニーをつくる習性があります。そのため、一度処理を行ってもそのときには蹴り出し孔がなく、駆除時に発見できなかったコロニーが残ってしまい、翌年に再び駆除しなければいけないケースもあります。

アメリカカンザイシロアリの予防にはホウ酸処理がおすすめ

アメリカカンザイシロアリが発生したときの主な駆除方法は、燻蒸処理・熱風処理・穿孔注入処理の3つです。燻蒸処理は建物全体をシートで覆い、猛毒ガスを使用してシロアリを駆除します。本場アメリカでは燻蒸処理をしていますが、駆除はできても予防は出来ないので、将来的に被害の可能性が残ります。

そのため、一般的には穿孔注入処理が行われます。これはシロアリが住み着いた木材に穴を開け、薬剤を注入する方法です。ただ、完全な駆除は難しく、発見できていなかった巣が残ってしまうリスクがあります。そこで、対策として効果的なのがホウ酸処理による予防策です。

ホウ酸処理がアメリカカンザイシロアリ予防に有効な理由

ホウ酸処理が有効な理由は、その持続性と安全性です。ホウ酸はシロアリの体内に蓄積され、代謝を妨げることで死に至ります。即効性はないものの、ホウ酸は無機物のため揮発せず、長期間にわたって住宅の構造材に残り続け、効果を発揮します。また、自然素材であり哺乳類にとっては安全で、お部屋の空気を一切汚しません。

一方、農薬系薬剤は揮発性があり、数年で効果が消失するため定期的に再処理しなければなりません。また、農薬系薬剤は揮発成分が屋内に蔓延しやすく空気を汚してしまう可能性もあり、特に子どもやペットへの安全性が懸念されます。

したがって、アメリカカンザイシロアリの予防には、ホウ酸処理が最適と言えるでしょう。

アメリカカンザイシロアリ予防にホウ酸を使うメリット

アメリカカンザイシロアリの予防には、ホウ酸処理が非常に有効です。自然素材であるホウ酸は、シロアリの予防において多くのメリットがあります。以下では、ホウ酸を使用するメリットを3つ解説します。

安全性が高い

ホウ酸は、揮発性がなく人体にも安全な成分で、人間にとっても必要な必須微量栄養素とされています。また、ホウ酸の経口毒性は食塩とほぼ同程度です。体内では必要な量だけが吸収され、余分な分は尿として排出されるため、過剰に摂取しなければ健康への悪影響はありません。

さらにホウ酸は温泉に含有される成分としても知られており、ホウ酸の多い温泉は切り傷ややけど、擦り傷に効果的だとされています。これはホウ酸の消毒・洗浄作用によるものです。身近なものでは、目薬や防腐剤にも使われている成分です。

ホウ酸の過剰摂取が起こるのは、ホウ酸を大量に飲んでしまった場合などに限られます。ただし、シロアリのホウ酸処理に使用するエコボロンは、誤飲防止として苦味成分を配合しており、誤って摂取したとしても飲み込まずにすぐ吐き出すので、誤飲につながりにくくなっています。揮発性もなく、お部屋の空気を汚すこともありません。

効き目が長期間続く

ホウ酸は無機物であり、経年で分解されることがないため効果が長期間持続します。一般的な農薬系薬剤は揮発性が高く、効果が数年で失われてしまいますが、ホウ酸は経年による影響が少なく、コストパフォーマンスの面から見ても長期的なシロアリ予防策として非常に有効です。

また、農薬系薬剤では再処理が難しい壁の中などであっても、ホウ酸なら効果が持続するため、家全体の被害抑制につながります。ホウ酸には防腐防蟻効果だけでなく防カビ効果もあり、木材の寿命を延ばす効果が期待できるのもメリットとして挙げられるでしょう。

アメリカカンザイシロアリにも高い効果

ホウ酸処理は、アメリカカンザイシロアリをはじめとした外来種のシロアリに対しても、高い効果を発揮します​。外来シロアリは土中に巣をつくる在来シロアリと異なり、木材に羽アリが直接入り込んで巣をつくり、じわじわと被害を広げるのが特徴です。土壌に薬剤を撒いたり埋めたりする方法では駆除も予防もできません。

ホウ酸は木材の内部に浸透し、シロアリが摂取することで代謝を阻害して死に至らしめ、繁殖も抑制します。新築時に全ての構造用木材にホウ酸処理を施すことで建物全体で被害リスクの低減が可能です。

ホウ酸で効果的なアメリカカンザイシロアリ予防を行うには?

アメリカカンザイシロアリの予防には、ホウ酸処理が非常に効果的と言えます。しかし、その効果を最大限に引き出すには、適切な方法とタイミングが重要です。

以下では、ホウ酸を使ってアメリカカンザイシロアリ予防をより効果的に行うためのポイントを、3つ解説します。

雨晒しになる屋外には使わない

ホウ酸は水に吸い寄せられる性質を持っているため、雨漏りや浸水などで長時間水に接してしまったホウ酸処理木材は、ホウ酸のメリットである長期の効果が得られなくなる可能性があります。屋外で使用するとホウ酸が出て行ってしまう可能性があるため、ホウ酸の効果を保ちたい場合は、雨にさらされない屋内部分へ使用するとよいでしょう。

また、製品を選ぶ際には、しっかり木材に浸透するタイプを選ぶと、水の影響を受けにくくなり、より長く効果が持続します。

早めに対策を行う

ホウ酸処理は、新築工事と同時に行うのがもっとも効果的です。新築時にホウ酸処理を行えば、構造部材のすべてに処理を施すことができます。

一方、既に建築された家屋の場合、構造部材の多くが物理的に隠れてしまうため、すべての木部に予防処理を施せません。アメリカカンザイシロアリから家全体を効果的に守りたいのであれば、新築時こそが最大のチャンスと言えるでしょう。

専門業者に依頼する

効率的かつ確実にホウ酸処理を行うためには、専門的な知識と経験を持つプロに依頼したほうがよいでしょう。

専門業者は、手が届きやすい表面部分だけでなく、目に見えない部分やシロアリが侵入するリスクの高い箇所にも適切な処理が可能です。通常のシロアリの知識に加え、アメリカカンザイシロアリの知識を持ち、ホウ酸処理に熟練した業者を選ぶと、より効果的な予防策を講じられます。

アメリカカンザイシロアリの被害事例

近年、アメリカカンザイシロアリによる被害が増えています。横浜市内では300メートル四方の区域内での被害件数が、9年間で6倍以上に増加し、多くの住宅が深刻な被害を報告するようになりました。木造住宅の構造部分に被害を受け、耐震性の低下が心配される事例が増えています。

たとえば、10年以上の時間をかけてアメリカカンザイシロアリに屋根裏の柱(小屋束)を食い荒らされ、ボロボロの状態になっていた例もあります。このような被害が広がると、住宅の価値が大幅に下がるだけでなく、居住者の安全にも重大な影響をおよぼす可能性があるため、早急に対処しなければなりません。

横浜市の事例は、アメリカカンザイシロアリによる被害の広まりと、適切な予防・対策がいかに重要であるかを示しています。

アメリカカンザイシロアリの対策を行いたいときは?

最後にアメリカカンザイシロアリの対策を行いたいときに、取りたい手段について解説します。アメリカカンザイシロアリに有効な製品も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

エコパウダー製品とアメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリに対して弊社製品(エコボロンシリーズ、エコパウダーBX)は有効です。ホウ酸塩が主原料であり、地下シロアリと同様に、処理木材はアメリカカンザイシロアリにとって毒物になります。

特にエコボロンシリーズは空気を汚さず臭いがないため居住者に負担とならず、家中いたる所に被害を出すアメリカカンザイシロアリ対策に適しています。地下シロアリ(ヤマトシロアリ・イエシロアリ)には防蟻防腐塗料エコパウダーBXを使い、 接合部など細かい部分と住宅上部分はエコボロンで処理するという方法もおすすめです。

駆除より予防が大切

シロアリ被害は住宅の耐震強度と資産価値の減少を招きます。シロアリの心配をせず安心して暮らしていくためには、 最初からしっかり予防措置を取っておくべきです。さらに万が一の場合のメンテナンスまで考えた家なら、万全と言えるでしょう。

全国対応も可能

エコパウダーの商品は、全国に約3,000社の認定施工店ネットワークがあるため、どの地域でもアメリカカンザイシロアリ対策が行えます。

たとえば、大田区や草加市の新築住宅ではエコボロンを全構造材に施工しました。アメリカカンザイシロアリは地上だけでなく、空中からも侵入するため、全木材に施工しなければなりません。これにより、軒やベランダからのシロアリ侵入も防ぎつつ防腐効果も付与し、住宅の耐久性を高めています。

被害の大きい、神奈川県、東京都、千葉県、兵庫県、大阪府、和歌山県での施工はもちろん、それ以外の地域でも施工は可能です。認定施工店はアメリカカンザイシロアリの知識や全構造材処理のノウハウを持っているので、安心してご依頼ください。

エコボロンは揮発せず、空気を汚さないため、安全なシロアリ用薬剤として、キッズデザイン賞を受賞しました。また、アメリカカンザイシロアリへの予防効果は、京都大学の試験でも証明されています。

安全性と信頼性の高いシロアリ対策をお考えの方は、ぜひエコパウダーにご相談ください。

株式会社エコパウダー

まとめ

アメリカカンザイシロアリは外来種のシロアリで、生息に水分をあまり必要とせず、乾いた木の中に羽アリが直接入り込んで巣を作ることが特徴です。土の中に巣を作って蟻道で上ってくるイエシロアリやヤマトシロアリと違い、蟻道を作らないため発見が難しく、完全な駆除も困難なシロアリです。

アメリカカンザイシロアリへの対処は、新築時に構造部材のすべてに対してホウ酸処理をしておくことが最も有効です。ホウ酸は安全性が高く、揮発もしないため、効果が長く続きます。

アメリカカンザイシロアリに有効な製品として、エコパウダーBX、エコボロンPRO、エコボロンDIYなどがあります。エコボロンシリーズは空気を汚さず臭いがないため、安全・快適にシロアリ対策を行えるためおすすめです。

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