蟻道(ぎどう)は、土や木くずを排せつ物や分泌物で固めたシロアリの通路で、乾燥と外敵を避けて移動するために作られます。床下の基礎や配管まわりなどに茶色い土の筋として現れ、シロアリ侵入の重要なサインです。コンクリート基礎でも隙間からシロアリが侵入し、蟻道が作られることがあります。
当記事では、蟻道の特徴、クロアリやジグモとの見分け方、ベタ基礎や布基礎など蟻道ができやすい場所、発見時の対処法について詳しく解説します。
蟻道(ぎどう)とは、土や木くずを自身の排せつ物で固めて作った管状の通路のことです 。乾燥、外敵を嫌う地下シロアリが、地中の巣からエサとなる建物へ移動するために作り出します 。床下の基礎や配管まわりなどに茶色い土の筋として現れるのが特徴ですが、蟻道が見つかった場所だけが被害箇所とは限りません 。
日本の住宅に被害を与えるシロアリは主に3種ですが、その中で蟻道を作って侵入するのは、『地下シロアリ』と呼ばれるヤマトシロアリとイエシロアリです。
| 侵入方法の特徴 | 蟻道の有無 | |
|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 羽アリが地下に巣を作り、そこからエサを探して移動する | 有り: 湿った床下などから蟻道を伸ばして侵入する |
| イエシロアリ | 地中の巣から侵入し、広範囲に活動を広げる | 有り: 地中から壁内や天井裏まで長い蟻道を伸ばす |
| アメリカカンザイシロアリ | 羽アリが飛来し、木材へ直接入り込んで巣を作る | 無し: 蟻道を作らずに木材内部へ直接侵入する |
アメリカカンザイシロアリは、羽アリがたどり着いた場所に木材があれば直接入り込むため、蟻道を作りません。 被害のサインは蟻道ではなく「糞粒(ふんつぶ)」となります。
各シロアリについて、詳細を記載している記事があるので、こちらもぜひご覧ください。
ヤマトシロアリの特徴や生息域・被害を受けやすい場所を徹底解説!
シロアリの蟻道は、種類で形や色が変わり、配管周りの隙間はもちろん、基礎の打ち継ぎ部やセパレーター跡の貫通部、さらには化粧モルタルの浮き目など、わずかな隙間や段差を伝って蟻道は伸びていきます 。床下だけでなく空中へ立ち上がる例もあるため、確認のポイントも含め代表的な特徴を以下で整理します。
蟻道は土の色に影響され、茶褐色から灰色に見えることが多い傾向です。また、蟻道を作る主な加害種であるヤマトシロアリとイエシロアリでは蟻道の特徴が少し異なります。
イエシロアリは巣に生息する個体数が多いため、太く盛り上がった蟻道になりやすいのですが、一方ヤマトシロアリは細長い筋状の蟻道が多くなります。蟻道を崩すと中で歩いているシロアリが見える場合もあります。また、場所や湿気で蟻道の形や太さが変わります。蟻道と考えられるものを見つけたら、早めに専門業者へ相談することが大切です。
蟻道は壁や基礎に沿って伸びる例が多い一方、まれに空間へ伸びる「空中蟻道」も見られます。進行中に小石や木片などの障害物へ当たると、壁にぶつかったと勘違いして進行方向を変え、そのまま上へ蟻道を立ち上げるケースがあります。特に、通気の悪い環境では作られやすいようで、密閉空間で1mを超す空中蟻道が見つかった事例もあります。
しかし、空中部分は一般的に折れやすく、上までつながる完成形は多くありません。空中蟻道が確認できたときは、早めに専門業者へ相談しましょう。
シロアリの蟻道は、土と木くずを排せつ物や分泌物で固めた管状の通路です。シロアリ以外の虫が構築する蟻道に似た構造物があります。これらの構造物は、似た形の通り道や巣もあるため、硬さ・材料・連続性で見分けます。
| 種類 | 触った感触 | 主な材料 | その他 |
|---|---|---|---|
| シロアリ | 押しても潰れにくい | 土+木くず+排せつ物 | 基礎や束石に沿い、途切れにくい |
| クロアリ | 崩れやすい | 土+植物片 | 短く切れ、粉が落ちやすい |
| ジグモ | ふわっと柔らかい | 土+クモの糸 | 白い糸が混じり、毛羽立つ |
| ドロバチ | 塊で硬い | 泥 | 丸い出入口が見える |
硬く連続する土の筋が上へ伸びる場合はシロアリの蟻道の可能性が高いので、位置を控えて写真を撮り、無理に壊さず専門業者へ相談しましょう。
シロアリは、基礎の外周の土壌、基礎の打ち継ぎや配管まわりの隙間、断熱材の内部や接着部、玄関やデッキ付近、通気が悪く湿りやすい場所などで蟻道を作ります。ここでは、蟻道が作られやすい代表的な6つの箇所について解説します。
基礎の外周部に物を置いていると基礎面が隠れてしまい、目視による点検ができなくなります。シロアリは地中からコンクリートの表面を伝って蟻道を作り、建物内部へと侵入しますが、これは布基礎やベタ基礎といった構造を問わず発生するリスクであり、実際の被害事例としても最も多い侵入パターンの一つです。
基礎周りに物を置くことは、この侵入経路をシロアリにとって絶好の「隠れみの」にしてしまう行為です。早期発見のためには、基礎付近を常に開放し、土の筋がないか外側からいつでも確認できる状態を保つことが不可欠です。
布基礎の住宅で床下に土間コンクリートが打たれている場合でも、シロアリの侵入リスクは決してゼロではありません。経年によってコンクリートが収縮すると、立ち上がり部分との間にわずかな隙間やひび割れが生じ、そこがシロアリの通り道となるからです 。
特に、排水管の貫通部や配管まわりの欠き込み部分は侵入の起点になりやすく、基礎際に土の筋(蟻道)が立ち上がる形で現れます 。さらに、床下がコンクリートで覆われていない「土のまま」の状態であれば、地中から直接上がってくるシロアリにとってより蟻道を作りやすい環境となり、危険性はさらに高まります。
点検の際は、外周と床下の基礎の立ち上がり、および配管まわりを重点的に確認し、特に束石や土台が近い場所は被害が進みやすいため注意が必要です。
基礎の打ち継ぎ部は、セパレーター跡の周辺や経年の隙間、微細なひびが入口になりやすく要注意です。点検では外周の物を動かし、打ち継ぎラインやセパレーター跡周辺に土の筋がないか確認します。基礎周りの通気確保と落ち葉除去も有効です。
玄関や勝手口まわりは、ベタ基礎・布基礎を問わず外部から侵入されやすい箇所です。ステップ、テラス、犬走りのコンクリートが沈下や収縮で基礎から離れると、そのわずかな隙間がシロアリの絶好の侵入経路となります。シロアリはこの隙間を利用して、基礎の表面に蟻道を作りながら上部へと進行します。
框の下や土間の端も点検対象です。外周は物を置かず、すき間に土や落ち葉が詰まらないよう清掃します。割れや離れが見つかったら補修して隙間を塞ぎ、建物内部にシロアリ被害が及んでいないかも合わせて確認します。
ウッドデッキが木製の場合、食害されるリスクが高いのはもちろんですが、樹脂製であっても注意が必要です。 ウッドデッキの下は日陰になりやすく、空気が滞留して湿気がこもるため、シロアリが蟻道を作りやすい環境になってしまいます。 束石から束柱を伝って家本体へ侵入するケースもあるため、取り合い部の点検が欠かせません。
断熱材の表面や接着部に蟻道が作られることがあります。また、断熱材がシロアリにとってかじりやすい素材だった場合、断熱材の内部が侵入経路になり、外からは見えない状態で被害が広がってしまうこともあります。中でも「基礎外断熱」を採用している場合は、特に厳重な警戒が求められます。
基礎の外側に設置された断熱材は、シロアリにとって地中から建物へと直接アクセスできる「格好の通り道」となりやすく、基礎と断熱材の接地面や断熱材の内部を伝って複数の蟻道が作られる例が多く報告されています 。実際にあった侵入事例を紹介している記事があります。こちらをご覧ください。
蟻道のような茶色い筋を見つけても、慌てて削ったり壊したりしないでください。崩すと、侵入経路や被害範囲を業者が追えず、必要な処置の判断ができなくなります。まずは周囲が分かる全景の撮影と蟻道が分かる近接を撮影し、場所(部屋名、基礎外周の方角、配管・束の位置)をメモします。同じような筋が他にないか、基礎や配管まわりを目視で探し、発見日も記録しましょう。
蟻道やシロアリを見つけると殺虫剤で退治したくなるかもしれませんが、目に見える部分だけ退治しても、薬剤の効果が巣の中心まで届かない場合があり、活動場所が分散して被害が広がる恐れがあります。早めに専門業者へ連絡し、調査の上で駆除・予防を一体で行いましょう。
蟻道はシロアリが基礎外周の土壌から建物へ侵入する際に作られるもので、わずかな隙間さえあればどこにでも形成される可能性があります。
ベタ基礎の打ち継ぎ部やセパレーター跡の隙間、配管まわり、さらには断熱材の内部などは特に狙われやすく、一度侵入を許すと外からは見えない場所で被害が広がってしまいます。
ヤマトシロアリやイエシロアリといった地下シロアリは、地中の巣からエサを求めて蟻道を伸ばし、建物へと到達します 。この侵入を根本から防ぐためには、定期的な点検で蟻道を早期に発見することが大切です。蟻道を見つけたら、崩さずに写真を撮り、専門業者へ相談しましょう。
シロアリは、被害に遭わない事が重要です。その為には、新築時にあらかじめ薬剤を散布してシロアリを建物に寄せ付けない一次防衛線となる「土壌処理」と、建物の骨組みそのものを守る「木部処理」を組み合わせて施しておくことが欠かせません。さまざまな経路から蟻道を作って侵入しようとするシロアリに対し、この「土壌処理」と「木部処理」をセットで行う「eことアル工法」は、家全体を長期にわたって保護するために極めて効果的な手段となります。