シロアリはアリに似た社会性昆虫ですが、動物学上の分類はアリよりもゴキブリに近い生き物です。かじれる物は何でもかじりますが、栄養になるのは木や紙に含まれるセルロースという成分です。自然界では、枯れて弱った木や倒木などを食べることで木の分解を助けています。
またシロアリは数千~数万頭と大集団化しますが、他の動物に捕食される数も非常に多く、自然界のサイクルの中でとても重要な役割を担っているのです。
シロアリが絶滅してしまったら、生態系のピラミッドは土台から崩れてしまうかもしれません。(余談ですが、シロアリは鶏肉よりも高カロリー・高たんぱく質で、アジアの一部などでは 羽アリを食用にする所もあるのだそうです)
しかし、人間の住む家まで食べられてしまうのは困り物。 シロアリ被害を受ければ住宅の資産価値が下がってしまいますし、何より地震に弱くなり、安全な住まいではなくなってしまいます。
阪神大震災で被害の大きかった神戸市東灘地区では、倒壊した家屋のうち約8割にシロアリや腐朽による被害があったという調査報告もあります。シロアリ対策と予防が万全であったなら、倒壊家屋はもっと少なかったはずです。
現在わが国では、木造の新築住宅にはほぼ全てに防蟻防腐処理が施されており、シロアリ予防、対策に使用されるのは一般には有機薬剤です。
これら有機薬剤は環境への負担や人体への安全性を考慮し、最大5年間で効果が無くなるように作られています。つまり、予防効果を維持する為には定期的な再処理が必要なのですが、壁体内など処理出来ない部分も出てきます。
最近の薬剤は安全性が高くなっているとはいえ、シロアリがそばに近づくだけで死ぬ薬が主流です。5年で効果が切れるから安全と言えるものではありませんし、効力を維持する為に何度も予防処理していたのでは安全面の不安だけでなく、経済的な負担も大きくなってしまいます。 シロアリ被害を予防しようとして薬剤被害を受けてしまっては、元も子もありません。
しかも壁体内などのように薬液が届かず再処理出来ない部位が出てきます。シロアリ・腐朽の予防、対策処理には揮発・蒸発・分解等によって無くなってしまう成分よりも 施工箇所に固着して持続し、それでいて安全性も高い木材保存剤が望ましいのです。