家の木くずはシロアリが原因?害虫の種類やシロアリの対処法を解説!

家の中や、家の外周部で細かい木くずを見つけたときは、木材を食べる害虫の被害を疑いましょう。特に「木くずのようなフン」を出すアメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材の中に巣を作り、何年もかけて家中に巣を増やしていく厄介な存在です。他にも、家具などに被害をもたらすキクイムシやナガシンクイムシ、さらには間接的に木材に影響するクロアリなど、見逃せない害虫は多数存在します。

当記事では、木くずの原因となる主な害虫の種類から特徴、見分け方、そして発見時にすべき対処法までを詳しく解説します。被害を早期に発見して、住まいを守るための知識を身につけましょう。

家の木くずはシロアリが原因?木くずを出す木材害虫の種類

家の床や柱の周辺に木くずが落ちているのを見つけたら、木材害虫による被害が考えられます。中でも、アメリカカンザイシロアリは木くず状のフンを出すことで知られています。他にも木材を食害するキクイムシやナガシンクイムシのほか、クロアリも木くずの原因となります。

こうした害虫の被害を放置すると、木材が内部からボロボロになり、住宅の耐震性が低下します。ここでは、木くずを出す代表的な木材害虫について、特徴や違いを詳しく解説します。

アメリカカンザイシロアリ

日本の住宅に被害をもたらす代表的なシロアリは、ヤマトシロアリ、イエシロアリ、そして外来種であるアメリカカンザイシロアリです。アメリカカンザイシロアリは、羽アリがペアとなって巣を作ろうと木材に潜り込む時に「木くず」を出します。その後、巣の中にフンが溜まってくると、巣の外にサラサラの粒状をした、木くずに似たフンを押し出します。ヤマトシロアリやイエシロアリは木くずや、木くずのようなフンを出すことはありません。

下記は、それぞれのシロアリの特徴をまとめたものです。

・アメリカカンザイシロアリ

乾燥した木材を好み、木材内部に巣を作ります。群れは数百~数千頭と小規模である一方、複数の巣を作るため被害が広がりやすい傾向にあります。巣からは砂粒状で固いフン(木くず状)が排出されます。

・ヤマトシロアリ

湿った木材や土壌を好み、床下や浴室付近など水分の多い場所に巣を作ります。

・イエシロアリ

自ら水を運び、木材を湿らせて食害を発生させます。個体数が非常に多く、数十万~百万頭にのぼるため、被害が広範囲に及びやすいです。

アメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材に生息できるシロアリであり、被害は屋根裏や窓枠、柱の上部などにも広がります。また、乾いたフンは直径1mm未満の俵型で、6本の縦筋が入っているのも特徴です。食べた木材の色によりフンの色も異なるので、フンを見ると被害箇所の特定に役立ちます。

アメリカカンザイシロアリなどの木材をエサとしている害虫への対策としては、木材にホウ酸系の薬剤を処理する方法が効果的です。ホウ酸は昆虫の体内に入ると、その昆虫は死んでしまいます。乾燥木材を主なエサとするアメリカカンザイシロアリなどには、木材にホウ酸処理を行っておくことで、被害を予防できます。

アメリカカンザイシロアリについて、詳細な情報を知りたい人はぜひ下記もご覧ください。

近年増加するアメリカカンザイシロアリとは?発生状況と予防方法とは

キクイムシ

キクイムシは広葉樹系の木材を好んで食害する害虫で、特にヒラタキクイムシはラワンやナラ、ケヤキなどに被害を及ぼします。木材内部で幼虫が成長し、成虫になってから小さな穴をあけて脱出する際、きな粉のような木くずをまき散らします。幼虫時の見た目は3~4mm程度で、春から夏にかけて活動が活発化し、被害は内部から進行するため気づきにくいのが特徴です。また、気づけたとしても数年にわたって被害が続くこともあるので、注意が必要です。

対処法としては、被害材にピレスロイド系の薬剤を注入するほか、予防として塗装や防虫処理、ホウ酸処理も有効だとされています。発生が広がっている場合は専門業者への相談が安心です。

ナガシンクイムシ

ナガシンクイムシは竹やラワン材、針葉樹材などを好んで食べる害虫で、種類によっては食品に被害を与えることもあります。木材の中に卵を産み、幼虫・成虫ともに木材内部を食害します。その結果、木材に2.5~5mmの穴が空き、比較的大きな木くずが出るのが特徴です。

対処法としては、被害箇所への薬剤注入や日常的な点検、早期発見が重要です。予防としてホウ酸処理も有効とされてます。被害が広範囲に及ぶ場合には、専門の業者による調査と駆除が求められます。

クロアリ

クロアリは木材を直接食べることはありませんが、腐った木や湿った場所に巣を作るため、巣作りの際のゴミとして細かい木くずや土を排出することがあります。6~11月にかけて活発に活動し、キッチンや浴室など湿気の多い場所でよく見られます。

また、クロアリが好む湿気のある場所は、ヤマトシロアリの好む環境と重なるため、ヤマトシロアリを追いかけて家の中に侵入することがあります。クロアリはシロアリよりも食物連鎖の上位にいるので、共生ではなくシロアリを食べてしまいます。

クロアリ対策には、掃除や簡易的な駆除に加え、床下点検を含む専門業者への相談がおすすめです。

シロアリと他の木材害虫を見分けるポイント

キクイムシやナガシンクイムシ、クロアリは木くずのみを出すのに対して、アメリカカンザイシロアリは木くずのような粒状のフンも排出します。害虫に対して適切な対応を行うためには、原因を正しく見極めることが大切です。

ここでは、見た目や被害の状況からシロアリと他の害虫を見分けるためのポイントを解説します。

木くずみたいなフンが落ちている

家の中や家の外周部で、写真のような砂粒状の木くずに似た特徴的なフンが落ちている場合、アメリカカンザイシロアリの可能性が高いです。

通常のシロアリ(ヤマトシロアリやイエシロアリ)はフンを外に出さないため、木くずが落ちている時点でアメリカカンザイシロアリの存在を疑ったほうがよいでしょう。

アメリカカンザイシロアリは駆除が非常に難しいため、発見次第すぐに専門業者に相談し、早期対応することが大切です。

木の中がスカスカになっている

見た目は普通でも、木材を叩いたときに「ポコポコ」と空洞音がする場合、内部がアメリカカンザイシロアリに食害されてスカスカになっている恐れがあります。特に注意すべきは床や柱が柔らかく沈む、ふかふかする、叩くと音が響くといった感触です。

被害が進んでいる場合、床の沈み込みやドアの建て付けの不具合だけでなく、耐震強度にも影響することがあります。

家の中や周辺で羽アリを見つけた

▲ 羽アリ(左下)と羽を落とした羽アリ(右上)

家の中や家の外周部で多数の羽アリを見かけた場合は、近くにシロアリの巣がある可能性が高いです。羽アリは、繁殖のために飛び立つ「シロアリの成虫」で、温暖な日に少数ずつ飛び立つ特性があります。着地後に羽を落として巣作りを始めるので、家の中に小さな羽が複数落ちている場所があれば、すでに家の中にアメリカカンザイシロアリが入り込んでいる可能性があります。

羽アリを発見したら、ただの虫と油断せず、専門業者に相談してシロアリ調査を依頼することが被害拡大の防止につながります。

家でシロアリの木くずを発見したときの対処法

家の中で木くずや木材害虫を見つけたときは、まずその状態を写真に残しましょう。木くずや虫の現物や写真は、害虫の種類と被害状況を判断するための重要な手がかりです。また、原因を特定するためには、木くずや虫を集めてタッパー等で密閉して保管をしておくのもおすすめです。

写真を撮影したら、シロアリ駆除に対応している専門業者に連絡し、現状を伝え、原因を特定してもらいます。建材内部に巣があるかどうかを調査します。

もしアメリカカンザイシロアリの被害が疑われる場合はすでに家の中に複数の巣がある可能性が高く、放置すると被害が拡大してしまうので早めの対応が必要です。

アメリカカンザイシロアリは個人での駆除が難しく、専門業者でも完全駆除が難しいと言われています。フンや羽アリなどの兆候が見られた場合は、できるだけ早くシロアリ駆除の専門業者に相談し、点検と対策を依頼することが大切です。

まとめ

木くずが家の中に落ちていたら、木材害虫による被害のサインかもしれません。アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材を好み、木くずに似たフンを家の中に排出します。また、キクイムシやナガシンクイムシも家具や床材などを食べ、木くずを出します。

被害が疑われる場合は木くずや虫、被害箇所の写真を撮り、できるだけ早く専門業者への相談を検討してください。被害を見過ごすと建材の強度低下や耐震性の悪化にもつながるため、些細な兆候でもしっかりと対策を講じることが大切です。

アメリカカンザイシロアリを予防するには、木材にホウ酸処理を行うのがおすすめです。ホウ酸は虫の体内に入ると代謝を阻害し、死に至らせることが可能です。さらに、揮発せず分解もしないため、長期間にわたって効果が持続するほか、空気を汚さず人やペットへの安全性も高い予防策です。

お問合せ・
資料請求はこちらから

受付時間 9:00~18:00(土日・祝日を除く平日)

フォームでのお問合せ

お問合せはこちら