家の中や周辺で羽の生えた小さな虫を見かけると、「もしかしてシロアリ?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。しかし、実際には羽アリに似た虫も存在し、すべてがシロアリ被害につながるわけではありません。しかし、シロアリを見過ごしてしまうと住宅への深刻な被害を招く恐れがあるため、正しく見分けることが重要です。
当記事では、羽アリそのものの特徴をはじめ、羽アリに似た代表的な虫の種類とその駆除方法を紹介します。
羽アリとは、クロアリやシロアリの中で繁殖のために羽を持った個体(女王アリと王アリ(雄アリ))を指します。種類によって時期は異なるものの、4~10月ごろには羽アリが1つの巣から一斉に集団で飛び立ち(群飛)、他の巣の羽アリと出会ってペアとなり新しい巣を作ります。働きアリや兵アリには羽がありませんが、女王アリや王アリは巣から飛び立って、別の場所で新たな巣を作るため羽を持っているのが特徴です。
特に注意すべきは、シロアリの羽アリです。シロアリは木材を食害するため、住宅の柱や土台などを食害して深刻な被害を引き起こす恐れがあります。見た目は茶色や黒っぽい種類も多く、クロアリと見間違いやすいため注意が必要です。
たとえば、ヤマトシロアリの羽アリは黒色の胴体、イエシロアリの羽アリは赤みを帯びた茶色、アメリカカンザイシロアリの羽アリは黒い胴体と赤褐色の頭部が特徴です。羽アリを見かけた際にシロアリである可能性を見逃すと、被害が拡大してしまう危険があります。
シロアリの羽アリは繁殖のために羽を持った個体で、発見すれば近くに巣がある可能性や、新たな巣が作られる可能性があることのサインとなるため注意が必要です。
一方で、もし発見したのがクロアリの羽アリだった場合、クロアリはシロアリのように木材を食べる習性はないため、直接的な被害はシロアリに比べて少ないと言えます。ただし、腐った木や湿気の多い場所に巣を作ることがあり、その際に木くずや土を出すことがあります。
また、日本各地に分布するイエヒメアリは、体長2mm前後の非常に小さなアリです。家屋の隙間などに巣を作ることがあり、身近な羽アリとして知られています。
さらに、キイロシリアゲアリも羽アリの姿で見かけることがあります。体はオレンジや黄色を帯びて小型で、光に集まる習性があるため室内に入ることもあります。このように、羽アリの中にはシロアリ以外の種類も多く存在するため、正しく見分けることが重要です。
羽アリは体が小さく、似た姿を持つ虫と区別が難しい場合があるため、誤解しやすい種類を知り、正しく見分けることが大切です。以下では、羽アリに似た虫の種類と特徴を解説します。
キノコバエは、体長1~4mmほどの細長い虫で、黒っぽい体色を持ち、群れで飛び回る姿が羽アリと似ています。特に観葉植物やプランターの湿った土壌で繁殖しやすく、幼虫は腐葉土や肥料をエサにするため、家庭内で大量発生することも少なくありません。ヤマトシロアリと比べると大きさが半分以下で、梅雨など高温多湿の時期に見られる点が大きな違いです。
発生源はほとんどの場合「鉢植えの土」なので、駆除には幼虫と成虫の両方を対象にする必要があります。スプレー型殺虫剤で成虫を駆除しつつ、土壌は無機質の赤玉土やバーミキュライトに替えて幼虫の繁殖を防ぐのが効果的です。植物を風通しの良い場所に置き、過度に湿らせないことが予防につながります。
アリガタバチ科の一種
アリガタバチは、体長1~5mmほどのアリに似た寄生蜂で、羽を持つオスの姿が羽アリとよく似ています。黒く細長い体型ですがヤマトシロアリよりも小さく、食品の貯蔵場所や畳のある室内で見つかる点が特徴です。シバンムシなどの害虫に寄生して増えるため、単独で発生することはほとんどありません。メスは毒針を持ち、刺されると赤く腫れて痛みやかゆみを伴うため注意が必要です。
駆除には殺虫剤が有効ですが、同時に宿主となるシバンムシも徹底的に取り除く必要があります。シバンムシの発生を防ぐには食品を密閉容器で保管し、食べこぼしやほこりを残さないなど清潔な環境を保つことが効果的です。
メイガは蛾の一種で、種類によっては飛翔中に小さな羽アリと似たシルエットに見えることがあります。体長は10~20mmとヤマトシロアリの約2倍以上あり、赤褐色や灰色がかった茶色の体色が多い点も相違点です。羽の表面には蛾特有の鱗粉があるため、近くで見ると区別できます。
メイガの種類によって異なるものの、中でも代表的なノシメマダラメイガは、米・小麦粉・パスタなどの食品に産卵します。幼虫は食品を食害するため、健康被害はありませんが生活に大きな影響を及ぼす害虫です。
駆除にはくん煙式殺虫剤が有効ですが、食品内部の幼虫には薬剤が届かないため廃棄するしかありません。予防のためには食品を密閉容器に保管し、開封後は早めに消費することが大切です。
羽アリやそれに似た虫を見つけたとき、慌てて強い薬剤を使うと逆効果になる場合もあります。まずは身近な道具で安全に駆除し、状況に応じて適切な方法を取り入れましょう。以下では、羽アリや似た虫の駆除方法を3つ紹介します。
羽アリを見つけたときは、掃除機で吸い取るのが効果的です。羽アリや似た虫の体は柔らかく、吸引の勢いや衝撃で死滅する場合が多いです。処分時に生き残っていることもあるため、心配な場合は掃除機から紙パックを取り出して殺虫剤をかけると安心です。
ただし、吸った羽アリがシロアリの場合、掃除機での駆除は一時的な対処であり、巣を除去できるわけではありません。羽アリが出る時点で家の近くに巣がある可能性が高いため、根本的な解決には専門業者への依頼が必要です。
掃除機が届かない狭い場所に羽アリや似た虫が発生した場合は、粘着テープを使うと効果的です。ガムテープなど粘着力の強いものなら簡単に絡め取れ、手を汚さず処理できます。持ち手付きの掃除用テープを使えば、羽アリに直接触れずに安全に作業できる点も安心です。
捕獲後に虫を確認することで、シロアリか似た虫かを見分ける手がかりにもなります。床や壁の小さな穴にテープを貼っておけば、応急的に侵入経路をふさぐことも可能です。
羽アリや似た虫を見つけても、発生源と思われる穴や隙間に殺虫スプレーを噴射するのは避けましょう。万が一その奥にシロアリの巣があった場合、シロアリが薬剤を嫌って移動し、被害範囲を広げてしまう恐れがあるためです。
また、毒エサタイプも羽アリには効果が薄く、羽アリが自らエサを取りに行かないため駆除につながりません。スプレーやくん煙式殺虫剤は巣を分散させるだけでなく、室内で使用すると人体やペットへの悪影響のリスクも伴います。羽アリの応急処置には掃除機や粘着テープでの捕獲が安全で、根本的な駆除は専門業者へ依頼しましょう。
羽アリや似た虫の中には、クロアリやキノコバエのように比較的無害な種類も存在します。しかし、シロアリの羽アリであった場合は、住宅の柱や床下などを食害し、建物の強度を大きく損なう恐れがあります。専門の業者に相談すれば、虫の種類を正確に判別でき、適切な駆除や予防処置を施してもらえるため安心です。
仮にシロアリでなかったとしても、早めに点検を受けることで被害の有無や今後のリスクを確認できます。特にシロアリは発見が遅れるほど駆除費用や被害が拡大します。羽アリや似た虫を見かけた際には、自己判断で放置せず、まずは専門家に相談することを強くおすすめします。
羽アリはクロアリやシロアリが繁殖のために現れる形態で、中でもシロアリの羽アリが家の中にいると、家や家の近くに巣があり、被害をもたらしている可能性があるため注意が必要です。ただし、すべての羽アリがシロアリとは限りません。クロアリの羽アリのように、住宅に直接的な害を及ぼさない種類も存在します。
また、羽アリに似た虫としてキノコバエ・アリガタバチ・メイガなどもおり、見分けがつきにくいこともあります。発生時には掃除機や粘着テープでの対処が可能ですが、殺虫剤の使用には注意が必要です。特にシロアリの可能性がある場合は、早めに専門業者へ相談し、駆除することが被害防止につながります。
シロアリの被害を未然に防ぐためには予防が何よりも重要です。自然由来のホウ酸塩を採用した「エコボロンPRO」は、熊本城など文化財での利用実績もある防腐防蟻剤です。農薬系成分を使わず、子どもへの安全性が評価されキッズデザイン賞を受賞しています。施工も簡単で、長期優良住宅にも対応しており、安心して暮らせる住環境を守ります。