ヤマトシロアリは、日本国内で被害件数が最も多い代表的なシロアリです。北海道北東部を除く全国に生息しており、住宅や建築物の床下、水回り、漏水や雨漏り箇所などの湿気が多い場所を中心に木材を食害します。家の中や庭先で4~5月頃に羽アリが大量発生し、驚かされる方も少なくありません。
当記事では、ヤマトシロアリの基本的な特徴や被害の出やすい場所、駆除方法を解説します。家の中で羽アリを見つけた方やヤマトシロアリの駆除方法について詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
ヤマトシロアリとは
ヤマトシロアリ(学名:Reticulitermes speratus)は、
シロアリ目ミゾガシラシロアリ科に属する昆虫で、日本に広く生息している代表的なシロアリです。建築物の木材をはじめ、畳や書籍、時にはプラスチックや金属までも加害することから、建材害虫・家具害虫・文化財害虫として知られています。
社会性昆虫であり、女王・王・副生殖虫・職アリ・兵アリといった階級が存在し、それぞれの役割分担によって巣を維持しています。働きアリが餌の採取や幼虫の世話を担い、兵アリは外敵からの防衛を担うなど、組織的に活動します。
兵アリ・職アリの体長は3.5~6mmほどで乳白色、羽アリは5~7mmとやや大きく、胸部が淡黄白色でそのほかは黒褐色をしています。女王アリはさらに大きく、体長11~15mmに達します。加害箇所そのものが巣となる特性を持ち、野外や住宅内で複数のコロニーを形成しながら活動するのが特徴です。

兵蟻(写真左)と職蟻(写真右)
ヤマトシロアリの生息する地域
ヤマトシロアリの生息域は、北海道北東部を除いた日本のほぼ全域に広がっています。北海道南部から本州、四国、九州、さらには沖縄まで広く分布しており、国内のシロアリ被害の大部分を占める存在です。
日本全国どこでも、住宅や建築物に被害を与える可能性があるため、身近で注意が必要なシロアリと言えます。特に日本の気候は湿度が高いため、全国的にヤマトシロアリが生息しやすい条件が整っているのも特徴です。そのため、地域に関わらず被害対策を考える上で、ヤマトシロアリは常に念頭に置くべき存在となっています。
近年では温暖化の影響により、これまで被害が見られなかった寒冷地でもヤマトシロアリの活動が活発化しています。さらに、床下まで暖かい基礎断熱工法の普及によって、居住者にとって快適であるだけでなく、住宅に侵入したヤマトシロアリにとっても過ごしやすい環境が広がっています。その結果、住宅を利用する住まい手にとっても、建物を提供するつくり手にとっても、シロアリ被害への対策はこれまで以上に重要となっています。
ヤマトシロアリの生態の特徴
ヤマトシロアリは、日本国内で最も多くの被害をもたらすシロアリとして知られています。北海道北東部を除く全国に分布しており、住宅や建築物など身近な環境で被害が報告されています。その背景には、湿気を好む性質や巣の作り方、社会性昆虫としての組織的な生態が関わっています。以下では、具体的にどのような特徴を持つのか解説します。
4~5月に羽アリが飛ぶ
ヤマトシロアリは主に4月から5月にかけて繁殖のために羽アリが一斉に飛び立ちます。数百から数千頭もの羽アリが一度に現れることもあり、シロアリの被害に気付きやすい時期と言えるでしょう。
実際に羽アリとして外に出てくるのは巣全体のわずか5%ほどであり、大量に飛び立った羽アリの20倍近いシロアリが目撃した付近に潜んでいる計算になります。そのため、室内で羽アリを見かけた場合、すでに建物が食害されている可能性が高いと考えられます。大量の羽アリを室内で見つけた場合は、放置せず早めに専門業者へ相談することが重要です。
イエシロアリより小さく羽アリは黒っぽい
ヤマトシロアリの羽アリは、イエシロアリの羽アリに比べて小さく、全体的に黒っぽい体色をしているのが特徴です。体の大部分は黒褐色で、首元にだけ黄色い帯のような模様が入っており、このコントラストによって見分けやすくなっています。羽は黒みを帯びて透き通り、光に当たると薄いグレーのように見えます。
また、羽アリは地面に降りると自ら羽を落とす習性があるため、周辺に黒っぽい羽だけが散乱していることもあります。もしこのような羽を見つけた場合、ヤマトシロアリが付近に生息している可能性が高いと考えられるでしょう。
湿った場所に巣を作る
ヤマトシロアリは、イエシロアリのような特別に加工された塊状の巣を形成せず、木材を食害した場所そのものが巣を兼ねています。木材を食べ尽くしたり、湿気が無くなったりすると、適した環境と餌を求めて集団で移動する習性があります。
特に湿度の高い場所を好むため、湿った木材や土中に多く生息し、家屋では床下や浴室、台所など水回りを中心に被害が見られます。木材の腐朽と同時に食害が進むことが多く、食痕は湿気を帯びて黒ずみ、見た目にも不衛生な状態になりがちです。乾燥した環境では生存できないため、風通しの良い通気のある場所を避けて生活しているのが大きな特徴です。
臆病で駆除しにくい

ヤマトシロアリは非常に臆病な性質を持ち、ちょっとした刺激で隠れて移動してしまいます。そのため、見つけたからといって慌てて殺虫剤を使うのは逆効果です。
表面的に見える個体は駆除できても巣全体を根絶できず、かえって警戒して別の場所に移動してしまうことがあります。
また、ヤマトシロアリは大規模な本巣をつくらず、湿った木材や腐朽箇所に小さな巣を点在させる性質があります。家の中に複数の巣をつくることも多く、仮に1つの巣を駆除しても別の場所で活動が続くことは珍しくありません。
生き残った少数の個体から巣が再生するケースもあり、駆除したつもりでも被害が止まらないことがあります。もし発見した場合は、自己判断せず専門業者に相談するのが確実な方法と言えるでしょう。
ヤマトシロアリが被害を与える場所
ヤマトシロアリは湿った場所を好むため、被害が集中する箇所には一定の傾向があります。水を運ぶ能力が低いため、
基本的には床下や水回りを中心に加害しますが、雨漏りや水漏れなどで水分が発生していると、シロアリは2階や天井裏まで侵入・加害することもあります。また、最近の高気密・高断熱住宅であっても、断熱不具合や換気不足によって壁内や床下に結露が発生することがあり、注意が必要です。シロアリ被害が進行すると、建物の耐久性に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ヤマトシロアリが被害を与える代表的な場所は以下の通りです。
- 床下(特に土台や柱の根元)
- 浴室、洗面所、台所などの水回り周辺
- 玄関の上がり框やドア枠材、窓枠材
- 雨漏りや水漏れのある壁・天井裏
- 畳や木製家具、ダンボール、本など身近な生活物資

浴室入口

勝手口から天井まで

雨漏り

玄関
ヤマトシロアリは「湿った場所」を中心に被害を広げる傾向があります。羽アリの発生や木材の異常に気付いた段階では、被害が相当進行している場合も多く、修繕費が高額になる恐れがあります。早期発見と定期点検が被害を防ぐ重要なポイントです。
ヤマトシロアリの駆除方法
ヤマトシロアリの駆除では、目に見えるシロアリを駆除するだけではなく、巣ごと駆除しなければ被害を根本的に止めることはできません。そのためには、薬剤をシロアリに巣へ持ち帰らせ、コロニー全体に効果を行き渡せる必要があります。
エコパウダーでは、蟻害部や蟻道、基礎外周の土壌などに専用薬剤「
アルトリセット200SC」を施工し、巣に薬剤を持ち帰らせる方式を採用しています。この方法により、表面的な駆除ではなく、巣全体を対象とした根本的な対策が可能となります。
まとめ
ヤマトシロアリは全国に広く生息し、湿気を好んで床下や水回りを中心に被害を広げます。臆病で分散的に巣をつくるため駆除が難しく、発見した時点で被害が進行しているケースも珍しくありません。
駆除する際は、シロアリに薬剤を巣へ持ち帰らせ、コロニー全体に行き渡せる必要があります。また被害を事前に防ぐことが何よりも重要で、予防法としておすすめなのがエコパウダーの「
eことアル工法」です。
eことアル工法は、土壌処理に高い効果を持つアルトリセット200SCと、木材の深部まで浸透して防蟻・防腐効果を発揮するエコボロンを組み合わせた工法です。農薬系薬剤は効果が約5年で切れる一方で、ホウ酸系薬剤であるエコボロンは長期間持続する特徴があります。特に新築時にエコボロンを施工しておくことで、将来的な被害を未然に防ぐ効果が期待できます。「eことアル工法」は床下からのシロアリ侵入を遮断しつつ、木部にも防腐・防蟻性能を持たせることで、被害を強力に予防することが可能です。